2021年の第1回目のお稽古は長板 炉 薄茶点前でした。長板は台子(だいす)の地板を元にしてできたお点前です。長板のほかにも様々な棚点前が台子点前を元として考案されました。
The first practice in 2021 was nagaita ro usucha demae, one of the many shelf procedures.
さて、新年初めての掛物は義理の叔父にあたる藤原りょう(木へんに旁)ざん(山)・画の『公鶏』ルースターと三羽のひよこの水墨画です。私の嫁ぎ先の京都の家では毎年、正月にはこのお軸を床の間に掛けていました。今は亡き義母に理由を尋ねると『子孫繁栄を願って』と言っていました。この軸を遺していただいたので、義母を偲びそれに習って正月に掛けました。お花は鉢植えの黄水仙を一本伐って鶴首に挿しました。お菓子は生徒さんと二人で手作りの練り切り。おめでたい『紅白の手毬』です。この頃、見た目も良く出来て『これは売り物になりそう!』と自画自賛です。
To wish the prosperity of her descendants in Kyoto every year, my mother-in-law used to hang a scroll with a painting of a rooster and three chicks in an alcove. I want to continue this tradition and to make the occasion feel like spring, I placed a daffodil in a crane-neck vase. My student and I had made a nerikiri, a Japanese cake in the shape of a temari (traditional Japanese handball) in red and white, celebratory colors. It was one of the best nerikiri we have made so far. We were quite pleased with the finished look.
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この長板は夫の手作りです。私が間違って風炉のサイズで作成を依頼してしまいましたので、長さ・幅とも風炉用で大ぶりです。長板の上の中央右寄りには水指、左寄りの向こうに挿し通の柄杓と飾り火箸を入れた杓立を、杓立の前に蓋置の入った建水を置きます。通常は台子・長板点前には水指、杓立、蓋置、建水がすべて同一のもので『皆具(かいぐ)』とよばれる道具を使用しますが、まだ皆具を持ち合わせていないので寄せ集めです。
My husband had made by hand the nagaita board we used. Unfortunately, its length and width were a bit too long for the ro hearth. But this was my mistake since I had asked him to make a foro-sized board. Usually, for this nakaita demae, we use kaigu, a set of three utensils— shakutate, futaoki and kensui—of the same material and color. Since we didn’t have a complete Kaigu set, we improvised with the tools I had on hand. We all still appreciated this unique procedure and enjoyed our first tea of this year.
お点前の留意点は、1) 茶道口建付にお茶碗と棗を置いて主客総礼した後、襖を閉めて、長板正面に茶碗、棗を置き合わせます。2)すぐに両手で建水をとり左ひざ横に置き、杓立てから右手で飾火箸を取り出し扱って、長板左畳の上に飾の部分を3センチほど残しておきます。3)蓋置をもって、居前にまわり定位置において、建水をすすめ居ずまいを正していつもの薄茶点前の手順でお茶を点てます。4)お茶椀が返りお終いの手順も通常と同じです。最後に水を釜に一杓差し、湯返しをして(棚点前と同じ)釜の蓋を閉めたら、左手で柄杓をもって長板正面に回り、右手で杓立てに戻し、居前に戻って水指の蓋を閉めます。5)拝見がかかりましたら、蓋置をもって長板正面に回り杓立ての前に飾ります。6)火箸を左手で取って右手で杓立てに戻します。7)お茶碗を一手で勝手付に置き、棗を持って客付きに回りいつもの通り拝見に出します。8)拝見の問答の為に茶室に入る際、きれいに洗って拭いた建水を持って出て、まず長板正面に座り膝前に置いた建水の中に蓋置を扱って入れ、両手で元の場所、杓立前に置いてから、客付きに回って、拝見の問答をします。